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●黄波戸(きわど)駅の朝 |
1991年 3月 |
2007年初稿・2019年 4月30日更新 |
山陰本線の西の要衝・長門市駅をさらに西に進むと、最初の駅が黄波戸だ。
黄波戸の街は、深川湾にのぞむ海岸線に沿うように小規模な集落が続き、
その西の端には漁港や黄波戸温泉という宿泊施設もある。
駅はその東西に長い集落群の中央あたりながら、中心市街からは外れた山際の高台に立地し、
周囲の町並みに伍してささやかな佇まいである。
要衝である長門市の隣駅ということもあってだろうか。かつて交換設備が存在したことを示すホーム跡はあれど、
その廃止が随分昔であったことを思わせるように、頑丈そうな継電器室が鎮座している。
駅施設は無人駅として最低限のものしかなく、鉄骨造り・スレート葺きのこじんまりした待合所があるだけだ。
そしてトイレも待合所と共に新築されたとおぼしき、コンクリートブロック積みの、近代的ではあるが簡素なものだ。
多くの高校生を乗せた50系客車4両の上り・長門市行きを見送ったあと、
暫くすると入れ替わりに長門市を発車した同じく50系4両の下り・下関行きが接近してきた。
列車が黄波戸に到着すると、どこからともなく時を知らせるサイレンが響いてきた。
未だ8時なんだ。長門の朝は早い。
下り列車はここから黄波戸峠越えに挑む。
わずか4両ではあるが、列車は力強いエキゾーストノイズを残して去っていった。
次は、長門古市。長門古市。
(1) | 本文中の写真は、すべてが動画と同時に撮影されたものではありません。 |
(2) |
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